
マンション値上がりしてるんでしょ?じゃあその分、資産が増えてるってことだよね。

数字の上ではね。でもその増えた分、使えると思う?

え…売れば使えるんじゃないの?

売ったら、今度は住むところがなくなるんだよ。だから僕はそれを「使えない資産」って呼んでて。

あ…そっか。あるのに使えないお金なんだ。
この記事でわかること
- 持ち家を資産に「含めるか含めないか」で、純資産の見え方が大きく変わること
- わたしが昔「持ち家はマイナス資産」だと思っていた理由
- 過去にマンションを売ったとき、負債だけ見て売り急いでしまった失敗
- いまはマンションを資産・負債で同額に計上して相殺し、純資産に影響させていない話
- 公的統計でも持ち家の扱いは割れていて、唯一の正解はないこと
持ち家って、資産なんでしょうか
家計簿をつけていて、毎年いちばん手が止まるのが持ち家の欄なんですよ。
住宅ローンの明細を見れば、残高はまだどっしり負債として残ってる。でも同じマンションが、買ったときより値上がりしてたりする。これ、資産なのか負債なのか、どっちで数えればいいんだろう、って。
今日は、わたしがこの問いにどう折り合いをつけたかの話です。
結論から言うと、マンションを資産の側に「住宅ローン残高と同額」で計上して、負債の住宅ローンと相殺する。だからマンション関係は純資産に影響させない、という付け方に落ち着きました。なんでそんな数え方をしてるのか、順番に書いていきますね。
持ち家を資産に含めるか、純資産を数えるたびに落ち着かなかった
持ち家を資産に含めるか、っていう問いに、わたしはずっと落ち着かないままだったんですよ。
純資産を計算しようと家計簿を開くたびに、マンションの行で指が止まる。金融資産は数字がはっきりしてるんです。預金も、投資信託も、株も、その日の評価額で一円単位までわかる。
でも持ち家だけは、いくらと書けばいいのか正解が見えないんですよね。
不動産屋のサイトを見れば「今ならこのくらいで売れます」と査定額は出る。でもそれは売ったときの話で、住み続けてるあいだは一円も入ってこない。かといって、住宅ローンの残高だけを負債に書くと、純資産がごっそり削れて見える。このちぐはぐさが、ずっと気持ち悪かったんです。
昔は「持ち家はマイナス資産」だと思ってた
若いころのわたしは、持ち家はマイナス資産だと思ってたんですよ。
理由はシンプルで、建物の価値が下がるスピードのほうが、ローンが減るスピードより速いと感じてたから。新築で買った瞬間に値が下がって、住んでるあいだもじわじわ目減りしていく。一方でローンは、最初のうち利息ばっかりでなかなか元本が減らないんですよね。
だから「家を持つ=毎年マイナスが膨らむこと」だと、わりと本気で考えてました。資産どころか、住み続けるかぎり損が増えていく箱、みたいなイメージだったんです。当時の感覚としては、そんなに的外れでもなかったと思ってます。
でも今は、含み益が出ていることが多い
ところが、ここ数年で景色が変わりました。
住宅価格そのものが上がって、買ったときより高く売れそうな物件が増えたんですよ。わたしのマンションも、数字のうえでは含み益が出ている状態です。昔の「マイナス資産」という前提が、そのままじゃ通らなくなってきた。
じゃあ含み益を資産に足せばいいかというと、ここでまた引っかかるんです。
だってこの含み益、住み続けるかぎり一円も使えないんですよ。売って初めて現金になるけど、売ったら今度は住むところがなくなる。使えないお金を資産額に乗せると、自分の感覚値とどんどんズレていくんですよね。わたしはこれを「使えない資産」と呼んでます。
住宅ローンだけを負債にするのも、おかしい
ここで逆の話もしておきたくて。
含み益を乗せないなら、いっそ持ち家はゼロ、住宅ローンだけ負債、でいいのか。いや、それはそれでおかしいんですよ。だって家には現に住めてるし、売れば値段がつく「モノ」があるわけで。
負債だけ計上して資産はゼロ、っていうのは、片目をつぶって数えるようなもの。含み益を全部乗せるのも盛りすぎだし、負債だけ見るのも厳しすぎる。この「どっちに振っても気持ち悪い」が、長いあいだの宿題だったんです。
負債だけ見て、売り急いだ過去がある
実はこの宿題、過去に一回しくじってるんですよ。
10数年前、結婚を機に妻の職場の近くへ引っ越すことになって。それまで住んでた3LDKの築浅マンションを、売ることにしたんです。引っ越しまでの半年くらいで売りたかったんですけど、内見は数組しか入らなくて。今みたいに住宅価格が上がってる時期じゃなかったんですよね。
しかもその半年、住宅ローンの返済と新居の家賃を、ダブルで払ってたんです。
早く売らないとオーバーローンになる、ってずっと焦ってました。オーバーローンっていうのは、売った値段がローン残高を下回って、借金だけが残っちゃう状態のこと。それが怖くて、結局200万円ほど値下げして手放しました。
あとから振り返ると、あのときのわたしは住宅ローンの残高ばっかり見てたんですよね。
「まだこんなに借金が残ってる」って、負債の数字だけが頭にあった。肝心の、その家にいくらの資産価値があるのか、をちゃんと見てなかったんです。だから負債だけが大きく感じられて、必要以上に売り急いでしまった。
それに、住宅ローンの返済を家賃と同じ「ただの支出」みたいに並べて焦ってたのも、いま思うと変なんですよ。ローンの返済って、その分ローン残高が減っていくわけで。家賃みたいに払って消えるお金とは、ちょっと違うんですよね。
もしあのとき、住宅価格のほうもセットで見ていたら。「負債は残ってるけど、家にもこれだけの価値がある」って引き算で見られていたら。あんなに焦らず、もう少し値段を粘れたかもしれない。これは、いまでもちょっと悔いが残ってる失敗なんですよ。
この失敗から学んだのは、売るときは資産価値も負債も両方見なきゃダメ、ということ。
ただ、ここでひとつ分けて考えるようになりました。「売るときの数え方」と「持ち続けてるあいだの数え方」は、別なんじゃないかって。売る場面なら両方見る。でも、住み続けてるあいだの家計簿はどうするか——ここが次の話です。
いまは「ローン残高と同額」で計上している
で、いまわたしがどうしてるかというと。
マンションの計上額を、住宅ローンの残高と同額にしてるんですよ。資産の側に「マンション ◯◯円」、負債の側に「住宅ローン ◯◯円」。この二つを同じ数字にして、純資産への影響をゼロに置いてるんです。
純資産って、資産から負債を引いた数字ですよね。マンションを資産に足しても、同じ額の住宅ローンが負債で引かれる。だから差し引きで、純資産はマンションのぶんだけ動かないんです。
つまり持ち家は、純資産を増やしもしないし、減らしもしない。差し引きゼロの存在として、家計簿のなかに座らせてる感じですね。最初は変な付け方かな、とも思ったんですけど、これがいちばん落ち着くんですよ。
この付け方だと、両方の歪みが消える
なんで落ち着くかというと、さっきの「どっちに振っても気持ち悪い」が両方消えるからです。
含み益は乗せないので、使えないお金で資産が水増しされない。住宅ローンだけが負債としてむき出しになることもない。資産価値とローンが相殺されて、純資産はきれいに金融資産だけで見えるんです。
しかも、これSE気質のわたしにはすごく管理が楽なんですよ。投資の中身も、サボってもまた戻ってこられる仕組みのほうが自分には合ってるんですよね(くわしくはこちら→リバランス、実は4年サボってた)。
時価で計上しようとすると、毎年どこかで査定し直さなきゃいけない。固定資産税評価額を調べたり、近所の売り出し価格を見たり、けっこう手間がかかる。でもローン残高と同額なら、銀行の明細を写すだけで毎年自動で更新できるんですよね。家計簿のバランスシートを軽く保てる、っていうのも地味に効いてます。
公的統計でも、扱いはバラバラだった
この付け方、自分で勝手にやってるだけなんですけど。公的な統計はどう数えてるんだろう、と気になって調べてみたんですよ。そしたら、扱いがけっこうバラバラで。
総務省の家計調査っていう統計だと、「貯蓄」は金融資産だけなんです。持ち家は資産に入れないのに、住宅ローンはしっかり負債に数えてる。つまり、金融資産から住宅ローンを引く形ですね。
でもこれ、わたしがいちばん違和感を持ってるやり方なんですよ。家の価値は見ないのに、借金だけ引く。あの売り急ぎのときと同じ、片目をつぶった数え方なんですよね。
逆に、全国家計構造調査のほうは持ち家を時価で資産に入れてます。こっちは含み益まで純資産に乗っかってくる。
だから「公的統計がこう数えてるから正解」って話じゃないんですよね。借金だけ引く家計調査と、時価を盛る全国家計構造調査。両極のどっちにも、わたしはしっくりこなかった。それで、資産と負債を同額にして相殺する、っていう真ん中の置き方に落ち着いたんです。
売る日が来たら、そのときは両方見る
じゃあこのゼロ置きが万能かというと、そうじゃないんですよ。
あくまで「持ち続けてるあいだ」の数え方なんです。もしいつか売る日が来たら、そのときは過去の失敗を思い出して、負債だけじゃなく、家の資産価値もちゃんと並べて見ようと思ってます。
ゼロに置くのは、住み続ける前提だからできること。売る場面では、ローンと資産価値の引き算で、冷静に値段を粘りたい。あの売り急ぎを、もう一回はやりたくないんですよね。
それに持ち家は、計上額の話とは別に、住み続けるだけで見えないコストもかかるんですよ(持ち家の見えないコストはこちら→マンション管理費・修繕積立金、10年で2割上がった)。
FIREの判定も、持ち家を抜いた数字で
この考え方は、FIREを考えるときにもそのまま効いてます。
あと何年で辞められるか、を計算するとき、わたしは持ち家を資産に入れません。だって生活費を取り崩していくのは、金融資産のほうですから。売れない家をいくら足しても、それで毎月の食費は払えないんですよ。
持ち家込みで「もう十分」と判定しちゃうと、いざ取り崩す段で足りなくなる。だからFIRE判定は、持ち家を抜いた金融資産だけで、わざと厳しめに見てます。そのほうが、自分の感覚値に正直でいられるんですよね。
いまの現在地
持ち家を資産に含めるか。この問いに、たぶん唯一の正解はないんだと思います。
含み益を乗せたい人もいるし、それも一つのやり方。わたしはたまたま、含み益にも負債にも振り回されたくなかった。だからローン残高と同額で相殺して、ゼロに置く。盛りもしないし、削りもしない。住み続けるあいだは、それでいいと思ってます。
完全に腹がくくれたわけじゃないけど、この置き方がいまはいちばん落ち着くんです。
この記事のまとめ
- 持ち家を資産に含めるかで、純資産の見え方は大きく変わる
- 含み益は住み続けるかぎり使えない「使えない資産」、でもローンだけを負債にするのも厳しすぎる
- 過去に負債だけ見て売り急いだ失敗から、「売るときと持ち続けるときは数え方が別」と気づいた
- いまはマンションを資産・負債で同額に計上して相殺し、マンション関連を純資産に影響させていない
- FIRE判定も持ち家を抜いた金融資産だけで、わざと厳しめに見ている

