
最近、なんか疲れてる?

うん。前みたいに残業しても翌日元気に出社、みたいなのが難しくなってきてね。

それって、仕事がしんどいだけじゃなくて?

最初はそう思ってたんだけど、仕事をセーブしても疲れが残るんだよね。年齢のせいかなって思ってきて。

そっか……じゃあ、65歳まで今みたいに働けるのかな、って話になるよね。
気づいたら、65歳まで働く前提で人生を計算していたんですよ。
退職金の試算も、老後のシミュレーションも、全部65歳が起点でした。「定年延長」「70歳就業努力義務」なんて言葉があちこちで聞こえてくるなかで、わたしも自然とそのレールに乗っていたんですよね。
「早期退職」とか「FIRE」という言葉は知っていたんですが、なんとなく自分には関係ない話だと思っていたんです。でも、ここ1〜2年で、その前提が静かに崩れ始めてきたんですよ。
きっかけは、お金の話じゃなくて、体の話だったんですよね。
40代前半と後半で、何かが変わった
40代前半は大丈夫だったんですよ。
20時まで残業しても、翌朝元気に出社できてましたね。多少疲れても、週末2日で回復できていたんです。でも、いつ頃からか——正確には1〜2年前あたりから——それが通用しなくなってきたんですよ。
「寝ても疲れが取れない」という感覚が出てきたんです。
20時まで仕事をすると、翌日に響くようになりました。土日休んでも、日曜の夜に「なんか、まだ休み足りない気がする」という感覚があるんですよね。3連休になると、ようやく「しっかり休んだ」と実感できるようになってきたんです。
休息の目盛りが、変わってしまってたんですよ。
最初は「仕事が忙しいせい」だと思っていた
この疲れの正体、最初は仕事のせいだと思っていたんです。
ちょうどその時期、仕事も忙しく精神的にしんどい状況で、「疲れてるのはそのせいだろう」と。でもさすがに辛すぎたので上司に相談して、仕事量をセーブしてもらったんですよ。そこから1年経って、状況はかなり改善したんです。精神的な余裕は戻ってきましたね。
でも、疲れが取れない感覚は残ったままだったんです。
で、最近になって、もう一つ気になることが出てきたんです。固有名詞が出てこなくなってきたんですよね。会議で同僚の名前が咄嗟に出てこないとか、「あの映画、なんだっけ」ってなるとか。仕事のストレスが減っても、こっちは変わらなかったんです。
そこで腹落ちしたんですよ。「ああ、これは年齢のせいだ」って。
「かなりセーブしないと、65歳まで働けない」
精神的な疲弊じゃなくて、体が変わってきているんだとわかったとき、正直に考えてみたんですよ。
このまま年齢を重ねていったら、どうなるのか、って。今よりもっと疲れやすくなるんですよね、たぶん。今でも週5・1日8時間勤務で体にきているのに、5年後・10年後は今より楽になるはずがないんですよ。
「かなりセーブしないと、65歳まで働けない」という感覚が、すうっと出てきたんです。
そのとき頭に浮かんだのが、「セーブしてなんとか65歳まで続ける」という選択肢ではなく、「いっそ辞めるか」でした。
資産があることで、「逃げ道」が見えた
「辞める」が選択肢として浮かんだとき、頭の片隅に資産のことがあったんですよ。
以前、試算してみたら、50歳で辞めても数字的には問題ない水準だったんですよね。住宅ローンもまだ残っていますが、なんとか対応できる範囲で。
お金のことを考えていたから「辞める」が浮かんだわけじゃなくて、体が先に「限界かも」と言ってきたから「辞める」が浮かんだんです。でも、その選択肢が現実として存在できたのは、資産があったからだとも思うんですよね。
「逃げ道がある」と気づいた感覚、というんですかね。
65歳まで働く前提で計算していたころは、「辞める」は考えてもいなかったんですよ。でも体の変化がリアルになってきたとき、「あ、辞められる」が選択肢として出てきたんです。資産の意味が「豊かさ」じゃなくて「逃げ道」として機能してきた、というのが正直なところです。
「辞める」が現実として浮かんでも、踏み出せない理由は別にある——その話はこちらの記事に書いています。
50歳という区切りは、どこから来たのか
「辞めるとしたらいつか」という話で、いま頭にあるのが50歳という区切りなんですよ。
計算して出した数字じゃないんです。誰かに言われたわけでもない。ふと考えてしまったんですよね。
男性の健康寿命ってだいたい72歳くらいで。50歳で辞めたとしたら、そこから22年あるんですよ。今まで社会人として働いてきた期間と、だいたい同じくらいなんですよね。
それぐらいは、好きなことをして生きてもいいんじゃないかな、って。
そう考えたら、65歳まで働いたら残りは7年しかないんです。なんかそれは短すぎるな、と思ったんですよね。そこで50歳という区切りは理にかなっているのかなと。
50歳で辞めて、自分の好きなことで少しだけ稼ぐ生活に切り替えていけたら——ブログとか、AIを活用した業務効率化の請負とか、フリーランスでシステム開発の知識を活かすとか——そういうことがぼんやりと見えてきているんですよね。
「決めた」という感じじゃないんです。「見えてきた」というのが近いです。
「65歳まで働く」前提は、もう持っていない
いまのわたしの現在地を正直に書くと、65歳まで働く前提は静かに崩れました。
でも「50歳で辞める」と決意したわけでもないし、完全に答えが出たわけでもないんですよ。体のことが理由だったり、資産の話が絡んでいたり、辞めた後の生活のイメージが薄かったり——いろんな要素がまだ混在している状態なんですよね。
ただ、一つだけ腹が決まったことがあるとすれば、「65歳まで働く前提で計算するのはやめよう」ということで。
はっきりとした答えはまだ出ていません。でも「65歳」じゃないことは、わかってきました。

