
ねえ、NISA始めた時期って、早かった方なの?

正直に言うと、かなり出遅れてた。2014年に制度始まったのに、本格的に使い出したの2022年からなんだよね

え、8年も?なんで使わなかったの?

当時はちゃんと理由があってね。でも今になって計算してみると、スルーした年数がそのまま数字になって出てくる

数字で……どのくらいの差になるんだろう
この記事でわかること
- 一般NISA・旧つみたてNISA・新NISAという3段階で、わたしが何をスルーして何を始めたか
- 当時「使わない」と判断した3つの理由——損益通算・5年で終了・年40万の枠
- 旧つみたてNISAをスルーした6年の機会損失を、年7%で検算した数字
- 月10万円積立の人なら、2.5年の出遅れは月2万円の積み増しでほぼ追いつけること
- 「今日が人生で一番若い日」という言葉が、出遅れた自分にどう効いたか
1.5億あるのに、NISAだけは出遅れた
資産1.5億超まで貯めながら、わたしはNISAという制度をほぼ使ってきませんでした。
正確に言うと、2014年に始まった一般NISAは申し込んだんですよ。でも1年だけ使って放置。2018年に始まった旧つみたてNISAは見送り。重い腰を上げたのは2022年で、新NISAスタートのちょうど2年前でした。
非課税制度がここまで揃っていて、資産形成は順調にやってきたつもりだったのに、NISAだけは10年スルーしてた——いまになって振り返ると、ちょっと不思議な空白なんですよね。
この記事では、なぜスルーしたのか、いくらの機会損失だったのかを淡々と数字で振り返ります。「過去のわたしはバカだった」という自虐じゃなく、「あのとき何が見えていなかったのか」をいまの目で確認する記事にしようと思ってます。
3つのスルー履歴——年表で見るとこうなる
まず、わたしがNISAとどう付き合ってきたか、年表で並べてみます。
| 年 | 出来事 | わたしの行動 |
|---|---|---|
| 2014年 | 一般NISA開始(年100万×5年) | 申し込み・個別株で枠を埋めるが翌年以降は放置 |
| 2018年 | 旧つみたてNISA開始(年40万) | 見送り |
| 2022年 | 旧つみたてNISAへ移行 | 積立開始(移行後2年分のみ) |
| 2024年 | 新NISA開始(年360万) | 開始直後から夫婦ともに積み立てを開始 |
10年のうち、本気で使い始めたのは最後の2年だけ。それまでの8年は完全な空白だったんです。
「投資自体は早かった」のに、「非課税制度には乗り遅れた」——これがわたしのNISA履歴の不思議な構造でした。20代から投資はやっていて、30代でインデックス投資にもちゃんと辿り着いていたんですよ。それなのに、NISAという「入れ物」にだけは関心を向けてなかったんですよね。
当時は合理的だった、3つのスルー理由
それぞれのスルーには、当時のわたしなりの理由があったんです。後から見ると「なんで」と思うんですが、当時は当時で合理的に判断したつもりだったんですよね。
一般NISAをスルーした理由——「マイナスになるとNISAの意味がない」
一般NISAが始まった2014年、わたしは申し込みました。当時は個別株もまだやっていたので、何かの銘柄を買って枠は埋めたんですよ。銘柄は正直もう覚えていないくらいです。
ただ、ちょっと利益が出たらすぐ売ってしまった。理由は単純で、「マイナスになるとNISAの意味がない」と思ったからなんです。
NISAは損益通算ができないんですよね。普通の特定口座なら、損が出ても他の利益と相殺できる。でもNISAだと、損は損のまま終わる。だから「プラスのうちに利確しておかないともったいない」という発想になってたんです。
しかも一般NISAは5年で非課税期間が終わる。「5年以内にプラスにならないと非課税のメリットがゼロになる」と感じた瞬間、長期で握る発想が消えてしまったんですよね。
翌年以降、わたしのメイン手法はインデックス投資になっていました。インデックスは10年20年で握ってこそ意味のある手法なんです。でも一般NISAは5年で区切られて、しかも損益通算もきかない。「インデックスとNISAは噛み合わない」と判断して、放置したまま終わったんですよ。
旧つみたてNISAをスルーした理由——「年40万なら特定口座で十分」
2018年に始まった旧つみたてNISAは、いまから振り返るとインデックス投資との相性が抜群でした。年40万、20年非課税、対象商品はインデックスファンドが中心。
でも当時のわたしは見送ったんです。理由は2つあって。
ひとつは、枠が小さく感じたこと。当時すでに特定口座で数千万円規模で投資していたので、「年40万追加で別管理するくらいなら、全部特定口座でいいや」と思ってしまったんですよね。
もうひとつは、結婚直後で生活が落ち着いてなかったこと。引っ越し・新居・家具——お金の出入りが激しい時期で、積立投資自体を一時的に止めてたんです。「いまNISAを始めても続かないかも」という感覚がありました。
結果として、4年間まるごとスルーしました。アベノミクスで株価が右肩上がりだった4年間です。
2022年——「考え直した」転換点
ようやく動き出したのは2022年でした。生活も落ち着いてインデックス投資を再開してたタイミングで、「どうせなら枠が小さくても、使った方が有利だよな」と考え直したんですよ。
おもしろいのは、2018年と2022年でNISA制度自体は変わってないことなんです。変わったのはわたしの方でした。「枠の小ささ」より「非課税のメリット」に目が向くようになった。同じ制度を、4年経って違う角度から見てたんですよね。
ここがこの記事の転換点だと思ってます。「考え直した」というのは自己批判じゃないんですよ。当時の判断は当時なりに合理的だったけど、見ている前提が変わったから判断も変わった——それだけのことなんです。
機会損失を計算してみた——「30万でも積んでおくべきだった」の数字
ちょっと気になったので、スルーした年数の機会損失を計算してみました。
想定リターンは年7%(オルカン・S&P500の長期実績ベース)で、淡々と数字を出してみます。
シミュ①:旧つみたてNISA、2018年から積み立てていたら
旧つみたてNISA(年40万)を2018年から2023年まで6年間積み立てていた場合、2026年5月時点での評価額をざっくり計算してみました。
| 投資年 | 元本 | 運用年数 | 評価額(年7%) |
|---|---|---|---|
| 2018年 | 40万 | 約8.4年 | 約70.6万 |
| 2019年 | 40万 | 約7.4年 | 約66.0万 |
| 2020年 | 40万 | 約6.4年 | 約61.7万 |
| 2021年 | 40万 | 約5.4年 | 約57.7万 |
| 2022年 | 40万 | 約4.4年 | 約53.9万 |
| 2023年 | 40万 | 約3.4年 | 約50.4万 |
| 合計 | 240万 | — | 約360万 |
非課税で約120万円の含み益、というのが2018年から積み立てていた場合のシナリオです。
実際のわたしは2022年からの2年分(2022・2023年で計80万)しか入れていないので、評価額はおよそ104万円。含み益は約24万円です。
差し引き、4年スルーした機会損失はおよそ95万円。「枠が小さい」と切り捨てた4年間が、ここに固まって出てくる感じなんですよね。
「年30万でも、年40万でも、積んでおけばよかった」——後悔の核心はこの数字なんですよ。インタビューで思わず出た「やっておけばよかった」という一言は、こういう構造を持ってたんです。
シミュ②:新NISA、2.5年の差は最終的にどれくらいか
ここからは読者の方に向けたシミュレーションです。
仮定:月10万円(年120万円)を新NISAに積み立てる人。年7%運用で30年。
| シナリオ | 期間 | 30年後の評価額 |
|---|---|---|
| 2024年スタート | 30年 | 約1.13億円 |
| 2026年5月スタート | 27.5年 | 約9,400万円 |
差は約1,900万円。これ、率直に言って大きいんですよね。「出遅れた2.5年分の元本300万円」が、30年後には約1,900万円の差になって出てくる。複利の力って、後ろの方ほど効くんですよ。
「2.5年くらい大したことない」と思っていた自分の感覚を、この数字はあっさり覆してきました。
じゃあ、この差を埋める方法はあるのか——というのが次のシミュ③です。
シミュ③:取り戻したいなら、月いくら積み増せばいいか
「月10万・27.5年で、2024年スタート組と同じ約1.13億円に届かせるには、月いくら必要か」を逆算してみました。
答えは月およそ12万円——つまり月2万円の積み増しでほぼ追いつくんです。
| 条件 | 月の積立額 | 30年後 |
|---|---|---|
| 2024年スタート | 10万円 | 約1.13億円 |
| 2026年5月スタート(追いつき) | 約12万円 | 約1.13億円 |
月2万円。これが現実的かどうかは人によりますよね。給与が年1〜2%上がる前提と、インフレ年2〜3%を考えると、収入に対する積立比率を維持するだけでこの2万円が捻出できる人も多いと思います。逆に、インフレで生活がきつくて積立を増やせない人もいますよね。
ここで、新NISAの「枠の大きさ」が効いてくるんです。月12万円積むなら年144万円。新NISA全体の年枠(年360万)に対しては、まだ全然余裕がある。「枠が小さくて積み増しできない」という旧NISA時代の悩みは、もうここにはないんですよ。
「追いつきたい人は積み増せる、追いつけなくても1割少ない結果に着地する」——そういう構造なんです。1,900万円の差は確かに大きいけど、月2万円という具体的な動かし方が見えてくると、印象がだいぶ変わるんですよね。
「今日が人生で一番若い日」——出遅れていても、今からが一番若い
ここまでの数字を並べると、ひとつの実感に行き着きます。
過去のスルー分の機会損失は確定してる。これは数字で出した通りです。でも、未来の積立はこれから始まる。「出遅れたか出遅れていないか」という二項対立じゃなくて、「いま動いた人と、明日も動かない人の差」が次の問題になるんですよね。
「今日が人生で一番若い日」という、よく目にする言葉があります。使い古されたフレーズだなと正直思ってたんですよ。でも、10年スルーしてきた自分が動き出すには、この言葉がちょうど効いたんです。
2022年に旧つみたてNISAへ動いたときも、2024年に新NISAでフル積立に切り替えたときも、心のどこかで効いていたのはこのフレーズだった気がしてます。「8年遅れた」「10年スルーした」と思うと足が止まるんですよ。でも「いまが一番若い日」と読み替えると、過去への後悔より未来の一歩のほうが軽くなる。
過去には戻れない。でも、未来にはいくつもの「今日」がまだ残ってる。これだけは、何歳から始めても変わらないんですよね。
わたしの現在地
新NISAは夫婦ともに開始直後から積み立てを開始しました。旧NISAでの失敗を活かした結果です。
成長投資枠の中身も、自分なりに迷って決めました。これは別の記事で書いてます。[新NISA成長投資枠、わたしは何を入れたか——迷った末の選択と外した選択]
そして、過去のスルー分は「もう取り戻せないコスト」として受け止めることにしました。後悔を引きずっても、未来の積立は1円も増えないんですよ。それなら、いま動ける範囲で動く方が前向きな現在地だと思ってます。
「制度の欠点を理由にスルーしてきた」過去の自分を責める気はあまりなくて、ただ、「制度の本質を見るほうがコスパがいい」とは思うようになりました。これはNISAに限った話じゃない気がしてます。
この記事のまとめ
- 一般NISA(2014)・旧つみたてNISA(2018)・新NISA直前(〜2022)の3段階で、わたしはNISAをスルーしてきた
- 当時の判断には理由があった——「損益通算できない」「5年で終わる」「枠が小さい」
- 旧つみたてNISAを2018年から積んでいたら、2026年時点で約95万円多かった計算(年7%想定)
- 月10万円積立なら、2.5年の出遅れは月2万円弱の積み増しでほぼ追いつける
- 過去のスルー分は確定。でも「今日が人生で一番若い日」——いま動けば、次の数字は変わる

