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「保険に入るな、貯金しろ」その一言が、人生を変えてしまった。大学4年の雑談から35年 | Nodoka Note

「保険に入るな、貯金しろ」その一言が、人生を変えてしまった。大学4年の雑談から35年

投資の話
のどか
のどか

ねえ、若いころ誰かに言われた言葉で、今でも覚えてるやつってある?

ゆるはる
ゆるはる

あるよ。大学4年の時に、バイト先の社長から言われた一言。35年たった今でも、ふとした時に頭に浮かぶ

のどか
のどか

え、35年前の言葉?どんな言葉なの?

ゆるはる
ゆるはる

「保険に入るな、貯金しろ」って言われた。当時は正直ピンとこなかったんだけどね

のどか
のどか

それだけで人生変わるものかな…


この記事でわかること

  • 20代の一つの選択が、その後の人生の軌跡を大きく変えることがあること
  • 成功体験と失敗体験を通じて、投資哲学がどう形成されるか
  • 「人生が開ける」という言葉の本当の意味に、35年かけて気づくこと

「保険に入るな。貯金しろ」その一言が、人生を変えることになった

大学4年の冬。パソコンアプリ制作会社でバイトをしていたんです。大学の講義が終わった夜遅くまで、その会社で働いていました。

あの社長との関係は、ただのバイト先と雇い主というだけじゃなかった。SIerに就職して、30代で仲間と一緒に起業。その分野では業界トップまで登り詰めた人です。貯めたお金で起業した、という話も聞いていたので、尊敬していました。

ある日の雑談の中で、社長から声がかかった。

「お前、保険に入るなよ」

「え?」って思いました。でもすぐに続きがあった。

「養うものもいないのに入る意味がない。その分、貯金しろ。3年で300万貯めれば、結婚式の資金になるし、車だって買える。会社だって作れる」

その時点では、正直、その言葉の重さをちゃんと受け取れませんでした。でも、尊敬していた社長の言葉だったので、従おうと思った。

当時は有限会社を設立するのに300万円の資本金が必要だったんです。それより後に株式会社は1,000万円必要だった(今は1円で作れるけど)。つまり、社長の言葉は「若いうちにお金を貯めれば、人生の選択肢が広がる」ってことだったんですね。

わかっていたはずなんですが、心の底からは理解していなかった。当時は、そんなもんです。

月5万の貯蓄が、やがて100万になって。そこから株を始めた

就職してからの話ですね。別の会社(IT企業、社員5名)に入りました。

月給から月2万を貯蓄用の口座に移す。残業代はすべて貯蓄に回す。トータルで月5万程度が貯まっていった感じです。

ボーナスの1回目は悩んだ末、ノートパソコンを買いました。2回目以降は一切使わず、そのまま貯蓄に回す。年間で50万くらい。給与と合わせて、年100万が貯まっていったんです。

1年経つと100万が口座に溜まってた。特に感動もなかった。ただの数字、という感覚でしたね。

その頃、仕事が暇だったんですよ。新しいプロジェクトもなくて、毎日が少し退屈だった。退屈な日々の中で、ふと「株」というものに興味を持ち始めたんです。

100万あるなら、投資してみてもいいかもしれない。そう思いました。

最初は銘柄をわたしなりに調査していたんです。ちゃんと考えて投資してたんだ。でも値動きがない銘柄ばかりで、つまらなかった。

そこで思い立ったのが、証券会社自体に投資してみるっていう話。当時使ってたのはマネックス証券。その会社に投資してみたんです。

すごかった。値動きが良い。いい時には1日でボーナス1回分ぐらいの利益が出た。調子に乗りました。

次はみずほ銀行。理由は単純で、「みずほ銀行がつぶれるなら、日本全体がダメになる。倒産は考えなくてもいい。株価も安い。最適な投資先だ」って判断した。

これもうまくいった。かなりの利益が出ました。

その当時は、きっとわたしのことを投資家だと思ってたんでしょう。成功体験が重ねられていて、わたしの判断は正しいという根拠のない自信があった。そんなもんですよ、20代って。

「知っている会社だから」——その一言が、100万を失わせた

調子に乗っていました。次は何に投資しようかって考えてた時に、大学時代にバイトしてたパソコンショップで扱ってたメーカー、ソーテックのことを思い出したんです。知ってる会社だ、というだけで投資しました。

経営状況も、事業内容も、競争力も、まったく調べなかった。

結果はダダ下がり。最後は買収されて、100万以上の損失を被りました。個別株の失敗の詳細と、そこから学んだことについては別の記事に書いています(→記事13)。

この経験と、同じ時期に続けていたインデックス投資の着実な利益、そしてオルタナティブ投資での失敗を合わせて考えたとき、一つの確信が生まれました。

「インデックス投資しかない」

その言葉が、その後の投資人生の指針になりました。

リーマンショック、東北地震、アベノミクス。そして35歳で3000万

その後、淡々とインデックス投資を続けてたんです。

リーマンショックが来た。資産は減った。東北地方太平洋沖地震が来た。資産はさらに減った。でも売らなかった。ずっと持ち続けた。

アベノミクスが来た。株価が上昇した。資産は復活した。そして増えていった。

35歳の時点で、3000万円の資産を手に入れていたんです。FIREに必要だと言われる金額に達していた。

その時点で、人生の選択肢が明確に変わっていた。仕事を辞めても、生活していけるだけの資産。配当金で生活できるわけではなかったけど、十分な蓄えがあった。

社長の教えから15年。「3年で300万貯めろ」という言葉は、その後の人生全体を形作ってたんですね。

2020年、コロナショック。「もっと下がる」と思ったら、1ヶ月で戻ってしまった

2020年。コロナショックが来たんですね。株価が落ちた。

見ていて、直感的に思ったんです。「もっと下がる。2ヶ月待てば、さらに安く買える」。

そう予想して、様子を見ることにしたんです。

1ヶ月で戻ってしまった。

買わなかった。買えなかった。その後、少しだけ拾ったから、利益は出てる。でも「全力で投資していたら」という思いが頭から離れないんですよ。

今考えると、あの時全力投資していたら、資産は倍になってたはずですよ。高配当株を仕込んでいたら、今頃は配当金だけで生活費を超えてたはずだ。FIREへの心理的な壁は、ずっと低かったはずだ。

悔しさはある。それは消えていない。

ソーテックで100万失った時の「理不尽さ」とは違う、別の種類の悔しさですね。あの時はわたしの判断ミスだった。今回は「相場の予測が外れた」「判断の確度が足りなかった」という、投資家なら誰もが経験する話です。

それでも、悔しいんですよ。

ただ、この悔しさはひとつのことを教えてくれました。「予測して待つ」のではなく「淡々と続ける」——ソーテックの失敗から学んだそのスタンスを、自分がまだ完全には体得していなかったということです。

「人生が開ける」って、本当はどういう意味だったのか

今、資産は十分ですね。FIREに必要な額を大きく超えている。

だが、退職に踏み切っていない。

理由を聞かれて、正直に答えるとしたら、こうですよ。

仕事を辞めた後、想定外の出費が生じて再就職する必要が出た場合、今みたいな給与は得られないという不安。

特にAIが普及する時代。SEという職業は少なくなっていくのではないか。その不安。

そして、最も大きな不安——仕事を失うことで、わたしの価値そのものがなくなるのではないか、という恐怖ですね。

社会的信用の喪失。

すべて、数字では測れない不安です。

大学4年冬、バイト先の社長は言った。「3年で300万貯めれば、人生が開ける」と。

その言葉を、当時のわたしは正確に受け取れませんでした。ただ「貯金する」という行動に走った。

でも、後年、マネーリテラシーを学んでから、その言葉の重さに気づいたんです。社長は自分自身の経験から「お金を貯めることで、人生の選択肢が広がる」と言ったんだ。それは金言だった。

そして、事実、その通りになった。3000万まで資産を増やせた。人生の選択肢は、確実に広がった。

だが、社長が本当に言いたかった「人生が開ける」という意味は、もっと広い何かだったのではないか、って最近思うんですね。

単なるお金の量ではなく、それによって何ができるようになるのか。どう生きるのか。そういう、人生全体への問い掛けだったのではないか。

お金を貯めることで、仕事をしなくてもいい状態になることができる。でも、仕事をしなくなることで、わたしの価値がなくなるのではないか、という恐怖に、いまだに支配されている。

社長は「人生が開ける」と言った。お金という観点では、その通りになった。でも、心理的には、まだ開いていない。

その問い掛けを、35年かけてようやく理解し始めたんですね。

人生が開くって、本当は何なのか。その答えは、お金の中にはないのかもしれません。


この記事のまとめ

  • 大学4年冬、バイト先の社長(業界トップに成功した実務家)から「保険に入るな、3年で300万貯めれば人生が開ける」というアドバイスを受けた
  • そのアドバイスは表面的には従ったが、当時は言葉の重さを理解していなかった
  • 15年間、淡々とインデックス投資を続けた結果、35歳で3000万の資産を手に入れた
  • 資産は十分だが、退職に踏み切れない理由は、お金ではなく心理的な不安(仕事=自分の価値)だ
  • 社長が言った「人生が開ける」という言葉の本当の意味を、35年かけてようやく理解し始めた

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