この記事でわかること
「家を買いたい。でもFIREも諦めたくない。」
この2つを同時に叶えようとしている人は、たぶん多い。でも「家を買うとFIREが遅れる」という話はよく聞くのに、「何年遅れるのか」を実際に計算したコンテンツがほとんどない。
だからやってみました。住宅ローン残り30年、FIRE水準の資産を持ちながら毎月返済を続けている自分が、FIREシミュレーターと住宅ローンシミュレーター2本を使って実際に数字を出してみた話を書きます。
「家を買うとFIREが遠くなる」というのは漠然とした話で、実際には影響のルートが2つあります。整理しておきます。
影響 01
毎月のキャッシュフローが減る
返済が始まると、投資に回せていたお金の一部が返済に取られます。毎月8万円の返済なら、年間96万円が投資に回らなくなる。これが30年続く。複利で運用されるはずだったお金が、ずっと減り続けることになります。
影響 02
頭金を入れた瞬間、資産が減る
物件価格の1〜2割を頭金として用意する場合、積み上げてきた投資資産をそこに充てることになります。「頭金を入れた瞬間」にFIREの達成ラインが一気に遠のく、という感覚を経験した方もいるはずです。
この2つが重なるから、住宅購入はFIRE計画に対してかなり大きな影響を与えます。
6年前、私は2,000万台のマンションを購入しました。住宅ローン残り30年・FIRE水準の資産を持つ今の自分が、改めてシミュレーターで「買わなかった場合」との比較を出してみます。
物件価格
2,500万円(仮)
頭金
500万円
借入額
2,000万円
返済期間
35年
金利(購入当時)
変動 0.5%
毎月返済額
約5.2万円
ここで正直に言っておきたいのですが、この6年で資産が1億5,000万超まで増えた背景には、株高・不動産値上がりという外部要因が大きく働いています。「2,000万台の物件を選んだから成功した」という単純な話ではない。運が良かった部分は、ちゃんと認めておきます。
一次情報 — 物件選択の判断根拠
4,000万円台の物件も選択肢にありました。年収比率で見れば25%を下回るので、数字の上では許容範囲です。
でも実際に計算してみると、4,000万円の物件を買った場合の月々の返済額は10万円を超えます。そこに管理費・修繕積立金が乗ると、当時払っていた家賃6万円台の倍近くになる。数字としては「大丈夫」でも、体感として「毎月これだけ固定で出ていく」という感覚が重かった。
それともう一つ、正直に言うと——3,000万〜4,000万の価格帯で、気に入る物件がなかったというのも大きな理由です。
今の家は駅から徒歩20分、55平米。広くはないですが、猫と2人で暮らすには十分でした(今は一部屋が完全に猫部屋になっています)。駅遠については、リモートワークなのでほとんど気にならない。むしろ隣がドラッグストアで、激安スーパーや鮮度のいい青果・魚介・精肉を扱うスーパーも近く、生活の実用性は高い。
結果的に「FIREのために安い物件を選んだ」というより、「気に入った物件がたまたま安かった」という方が正確かもしれません。でもその選択が、投資を続けられた一因だったのは間違いない。
「じゃあ自分は?」という方のために、物件価格を変えた比較を出してみます。
| 物件価格 | 頭金(2割) | 毎月返済額(目安) | FIRE達成(住宅なし比) |
|---|---|---|---|
| 2,000万円台 | ○○万円 | 約○万円 | +○年 |
| 4,000万円台 | ○○万円 | 約○万円 | +○年 |
| 6,000万円台 | ○○万円 | 約○万円 | +○年 |
※数字はシミュレーターを実際に回して埋めること。共通前提:現在の年収・投資資産・積立額はゆるはるの実数値を使用。
物件価格が2倍・3倍になるほど、単純に「○年遅れる」が倍増するわけではありません。頭金として取り崩す資産の影響が大きいので、高い物件を買うほど序盤のダメージが重くなる傾向があります。
関連ツール
あなたの数字で計算してみよう
上の表はゆるはるの条件での試算です。年収・積立額・現在の資産が違えば結果も変わります。2本のシミュレーターで自分の数字を入れてみると、より具体的にイメージできます。
シミュレーターを回すと、必ず「○年遅れる」という数字が出ます。これをどう受け止めるかが、たぶん一番大事なところです。
「遅れる年数」より「その間に何を得るか」で考える
住宅を持つことで得られるものがあります。賃料を払わなくてよくなること、固定した居場所があること、住宅ローン控除(後述)が使えること。「何年遅れるか」だけを見ていると、この側面が抜け落ちます。
「許容できる返済感覚」から物件価格を逆算する
私の場合、4,000万円台でも数字上は問題なかった。でも「毎月10万円超が固定で出ていく感覚」が引っかかった。当時の家賃の倍という事実が、体に合わなかった。
「年収比率で何%以内なら大丈夫」という計算より、「毎月これだけ出ていくことを、自分は苦に感じないか」という問いの方が、長期でFIREを続けるには大事だと思っています。シミュレーターで返済額を先に確認して、自分が無理なく払える上限を決めてから物件を探す。それが、FIREと住宅購入を両立するための一つの順番だと思っています。
「サイドFIRE」という選択肢を組み合わせる
完全にやめなくていい、という考え方があります。ローン返済分だけ働き続け、残りの時間を自由にする。「ローンがある=FIREできない」ではなく「ローンがある=その分だけ稼ぐ必要がある」と読み替えると、選択肢が広がります。
ここまでは「これから家を買う人」向けの話でした。私のようにすでにローンを抱えながらFIREを考えている人には、別の論点があります。
「FIREしようとすると、返済中のローンをどう扱うか」という問題です。
私はいまのところ答えを出していません。でもこの3択を意識しながら考えるようになってから、「ローンがあるからFIREできない」という思い込みが少し薄れました。選択肢がある、ということを知るだけで見え方が変わります。
あまり語られないのですが、住宅ローン控除はFIRE計画にプラスに働くことがあります。
住宅ローン控除とは、年末のローン残高の0.7%が最大13年間、所得税・住民税から控除される制度です(2024年以降の一般住宅の場合。新築・中古・省エネ基準の適合状況によって借入限度額が異なります。公開前に最新の制度内容を確認してください)。
たとえばローン残高が2,000万円なら、年間14万円の控除。13年間で合計182万円が戻ってくる計算です。
この控除分を毎年そのまま投資に回す、という使い方ができます。「住宅購入によって失ったキャッシュフロー」を、控除によって一部回収するイメージです。ローン控除が終わるタイミングでFIREを検討する、という時間軸の設計をしている人もいます。
なお、今の金利水準が購入時より上がっている場合、借換えによって毎月の返済額を減らし、その分を投資に回すという選択肢もあります。現在の金利との差が0.3%以上あれば、借換えを検討する価値があると言われています。
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住宅ローンの借換えシミュレーション
現在の借入条件と比較して、借換えで毎月いくら節約できるかを確認できます。
シミュレーターを回してみて、あらためて思ったこと。
「家を買う=FIREを諦める」ではない。「家を買う=FIREが何年遅れるかを把握した上で進む」というだけの話です。
数字を見ないまま「なんとなく遠くなった気がする」と感じているより、一度シミュレーターで自分の数字を出してみる方が、ずっと前に進みやすくなります。
私は6年前に2,000万台の物件を選んで、結果的には投資を続けられました。もし5,000万の物件を買っていたら返済額が重くなり、投資の余力が落ちていたと思う。あの判断が正解だったかどうかは、まだわからないけれど——少なくともFIREを視野に置き続けながら進んでこられた理由の一つだったとは思っています。
この記事のまとめ